Yukiyanagiな日々

趣味で創作活動しています。野生動物、北方狩猟民大好き。創作活動の報告や、日々思うことを綴ります。

序章

        更に加工(mini)

 雨が降りしきる中、ひとりの男がずぶぬれになりながらその場にしゃがみ込んでいた。男の目の前には、傷だらけの少女が横たわっている。少女の背中には矢が二本も刺さっており、悲痛な表情をしたまま動かない。
 二人の周りには、倒壊した建物の残骸が散らばっている。辺りから黒々とした煙も立ちこもっていた。あちこちに矢が刺さり、多くの建物が破壊されていた。二人がいるのは、そのひとつだった。
「ううっ……何故だ……何故……リラまで……」
 男は妙に毛深い手で少女の頬に触れた。その爪もまた、鋭く、長い。
「何故リラまで、殺されてしまうんだ!!」
 男は叫んだ。けれどその声は、雨の音に遮られてしまう。
 男はこぶしを握った。強く握って手の甲の血管が浮き出ている。陰に埋めた顔から憎悪に満ちた表情が浮かび、妙に目が光っている。
「赦さん……赦さん……あいつらを……あの連中を…………絶対……――――赦してなるものかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
 男の雄叫びが、雨の中こだました。


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