Yukiyanagiな日々

趣味で創作活動しています。野生動物、北方狩猟民大好き。創作活動の報告や、日々思うことを綴ります。

「獰猛な肉食動物」っていう表現が気に食わない

170115.jpgこういう感じのことは今までも何度か書いている気がするんですが、先週と今週の「ダーウィンが来た」で恐竜の回を見ていて改めて思うので書かせてほしいです。今回は今まで以上にはっきり言わせてほしいです。


CGでの再現などで見られる動物たちの生態って、大抵大人しくていたいけな草食動物を凶暴で怒り狂った肉食動物が襲うっていう構図になっていると思いませんか? ティラノサウルスとかいつも大きく吠え声を立ててる姿で表現されてますよね。やれ羽毛があっただの集団で狩りをしてただの言う以前に、獲物に向かって威嚇したら逃げちゃうでしょと言いたい。そしていつも肉食恐竜の陰に怯え、大人しく草を食む草食恐竜たち。ティラノに襲われる瞬間はまさに悲劇そのもの。そういう演出が私は昔から大嫌いです。

よく「獰猛な肉食動物です」とか「植物を食べる大人しい性格です」とか聞きますが、肉食だからいつも怒り狂ってるのか、草食だから穏やかなのか、よく考えるとイコールになるとは思えませんよね。実際のところ肉食動物も結構怖がりだったり、草食動物も結構荒々しかったり、むしろ逆じゃないの?と思うことがしばしばあります。


どうしてそういう表現に此処まで私が怒れるのか、自分でもよくわかりませんが、要するにわかりやすさのために動物たちの生態を誤った姿で表現しているのが許せないわけです。肉食動物はほかの動物を襲って食べるから暴君のように恐ろしくした方が伝わるだろう、肉食動物に食われる草食動物は大人しくした方が対比になっていいだろうという意図なんだと思いますが、そういう思い込みのままでいいんでしょうか?


昨年「シーズンズ」という野生動物の「ネイチャードキュメンタリー」映画が放映されて私もBlu-rayで見たのですが、上記の感覚が抜けていないことが分かり、とてもがっかりでした。2万年間の人と自然とのかかわりを描くなんてどうやってやるのと思ったのですが、やはり制作側の考えているイメージとか視聴者へのわかりやすさを考慮しているため脚色やストーリーを描き出すための演出がかなり多く、普通のドキュメンタリーのようにありのままの野生動物の姿を描いているというものではありませんでした。

そして、制作がフランスだっということもあってか、やはりオオカミに対するマイナスなイメージは取れていなかったですね。映画の前半、オオカミがウマを狩るシーンがありましたが、ウマを取り囲んだところでオオカミが牙を剥き出して威嚇するような顔をしていました。あんな表情を獲物に向かってするとは思えません。オオカミが牙を剥くのは、相手に向かって引き下がれという合図です。相手を怖がらせて遠ざけようというのです。そんなことをぜひとも引き寄せたい獲物に向かってやってどうすんのと思えませんか。そして、ナレーションでも人間はオオカミの脅威に怯えていただのかつては敵だったの言っていて、昔はまるで人間は定期的にオオカミの餌食になっていたというように聞こえてきます。人間が餌食になるくらいならイヌは生まれねえっつうのと言いたい。これってやっぱり、ヨーロッパ人にある昔からのオオカミに対する憎悪や偏見が抜け切れていない証拠だと思いますね。

だからあの映画に出てきたオオカミたちは飼いならされたタレントで、調教師の指示に従って行動しているのだと思います。だって、そもそも野生のオオカミをあんなに間近で撮影するなんてまず無理です。それに、追われていたウマたちは現代では映像のように野生では暮らしていません。もはや自然界に存在しないウマと警戒心の強いオオカミを、あれだけ間近に好都合に撮影できるなんて、人間の手配がなくては無理な光景です。あの映像は「昔はこうだったろう」という完全な演出なのです。どこが「ネイチャードキュメンタリー」だったの?

話はまたオオカミの事になっちゃいますけど、欧米人のオオカミに対する憎しみって並大抵じゃないですよ。アメリカで90年代にオオカミが再導入されある程度数が増えてくると、途端に再導入された州では「もうオオカミの数は回復したから」と判断してオオカミ狩りを許可し、アイダボ州では1000頭しかいなかったオオカミのうちの約半分が駆除されてしまったそうです。またノルウェーでは68頭しかいないオオカミの70%を駆除してもいいと国会が許可しています。オオカミ駆除は中世の昔から宗教と深く結びついており、それ故「オオカミは獰猛で人間の脅威だ、排除せねば」という感覚が抜けないのだそうで、北欧ではオオカミの話は移民の問題と同じぐらい賛否が分かれる繊細な話題なのだとか。
【参照:ジム&ジェイミー・ダッチャー著「オオカミたちの隠された生活」、Yahooニュース(http://bylines.news.yahoo.co.jp/abumiasaki/20160921-00062411)】


ちょっと本筋から逸れちゃいましたが、そういうわけで、とかく人間が動物を表現するとそういう構図になりかねないんですよ。実際はティラノもオオカミも獲物に向かって威嚇はしないし、草食動物を見たからっていつでも襲い掛かるわけじゃない。草食動物だって常に天敵がいる意識で気が荒いのもいるし、肉食動物に負けない反撃力を持っているということを表現してもらいたいです。



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