おおもとについては私のサイトや、イベントでお配りしたパンフレットにありますので、そちらを確認していただけたらと思います。
第1回の今日は、物語世界に登場する「鳥人」についてです。呼び名の通り鳥のような身体的特徴を持っていますが、なぜ彼らを背中に翼が生えるのではなく、腕に羽毛が生えている設定にしたのか、その理由を解説します。

ちなみに、2013年までの設定では背中に翼が生えることになっていました。

理由は2つあります。ひとつは重量制限の考慮、もうひとつはそっちのほうが設定が新鮮だから、です。
実は、彼らの体重では空を飛ぶことは物理的にまず無理なのです。鳥が空を飛べる体重は12kgが限界だ、という話を昔テレビでやっていたのを聞き、13kgにもなるコンドルは「飛ぶ」のではなく「滑空してる」だけだというのを聞いたことがあります。「鳥人」たちは普通に霊長類だし人類なので、体重を軽くするために骨の中を空洞にする、なんて設定はできません。骨が脆くなってしまい空を飛ぶ以前に生きていけません。それに骨を軽くしたところで12kg未満にはならないでしょう。
以前の設定では苦し紛れに屁理屈つけて「魔力を使って見えないジェットエンジンを噴射してるんだ」と考えていました。しかし、よく考えれば翼があるということは、背中に付属肢がもう一対生えていることでもありますよね。いくら特殊に進化した人間とはいえ、そこまで大幅に変えてしまってもいいのかと悩み、結局背中から翼が生えて飛ぶ、という設定はやめました。
また、鳥系だから空が飛べる、って設定なんかありきたりじゃないですか? 鳥ならではの、空を飛べる以外の特徴って何なんでしょうか。そう、羽毛が生えていること、低酸素の環境に適していること、足に鋭い鉤爪があることですよね。だから、空を飛ぶ能力を却下したのなら、こちらの特徴を生かせばいいんですよ。
腕に羽毛が生えたというアイディアは、羽毛恐竜からヒントを得ました。鳥の祖先が恐竜(獣脚類)だというのは皆さんご存知の話だと思いますが、彼らの前足には結構立派な羽毛が生えていますよね。羽毛が生えた理由というのは彼らが恒温動物で、体温を維持するためのもので、最初から空を飛ぶ前提はなかったんですよね。だからそれにあやかり、「鳥人」たちの腕にも羽毛が生える設定にしました。「獣人」の場合は腕に剛毛がびっしり生えているので、毛の代わりに羽毛が生えたと思ってください。
個人的になんですけれど、背中から翼を生やして飛ぶ、というのは、ちょっと冴えない感じがするんですよ。背中の翼は頑張ってバタバタ動かしてるのに、胴体は直立不動なわけじゃないですか。頭の中でリアルな動きをシュミレーションしてみたんですが、あまりカッコよくない印象でした……。