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Although the world is full of suffering,
it is full of the overcoming of it.
- Helen Keller

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今年最後にして最高の映画

今年も今日で最後となりました。今年はニュージーランドとカナダの2か国を旅行したり、一眼レフデビューしたり、2度目の博物ふぇすに出展したり、そして念願のWEB業界に転職したりと、かつてないほどたくさんのことがありました。

そして昨日、今年最後の出来事としてとても良い映画と出会ったので、今回はその映画の紹介をしていきたいと思います。
2004年、フランス・カナダ・ドイツ・スイス・イタリア共同制作「狩人と犬、最後の旅」という作品です。わお!アメリカが入ってない(笑)

映画ジャケット
ノーマン・ウィンター(ノーマン・ウィンター)は、50年間ロッキー山脈で罠猟を続けてきた。彼はネイティブ・アメリカンの妻、ネブラスカ(メイ・ルー)や犬ぞりを引く犬たちと厳しい大自然の中で暮らしてきたが、そろそろ引退を考えていた。そんな折、彼は犬ぞリのリーダーである長年の相棒を交通事故で失ってしまう。 シネマトゥデイ

私について少しでもご存じの方であれば、いかにも私の好きそうな作品だとわかりますね。で、私が勧めるということはハリウッドなどでありがちな、無駄に肉食動物を凶暴に描いたりしてない、ということです(これめっちゃ重要ww)

TSUTAYAで偶然見つけ、いろいろ心配なところがありつつも思い切って借りて観てみたら思いのほか良き作品でした。DVDが劣化か不良品かのせいか途中映像が荒れて見づらいところがありましたが……。

ちょっとややこしいかもしれませんが、この映画は半分ドキュメンタリーです。奥さん以外登場人物はほぼ全員本人役で登場しています。カナダのユーコン準州(アラスカのすぐ隣)の森の中で狩りをし、毛皮を売って生活している男性の1年を映した映画です。作中では無駄な脚色等はなく、その内容にはとても説得力があります。
日本国内での映画のレビューも概ね良く、「大自然の雄大さを感じた」とか「単純な環境保護を訴える内容ではなく興味深かった」といった声がありました。

私の方から他の人と同じ感想を言っても意味がないので、上記の感想以外にも私が思ったことを綴っていきます。

あ、ネタバレが含まれるかもしれないのでご了承ください。

エンターテインメントを越えた、映像資料としての価値がある

ハリウッド映画では味わえない世界

この映画は、狩人のノーマン・ウィンター氏本人の暮らしを描いた作品です。どんな道具を使ってどんな生活をしているのか、その生活の詳細部分を見ることが出来ます。また、いくつかのシーンでは、ノーマンさんの過去の出来事を再現したものがあります。

はっきり言って、ハリウッドでは作りたがらない内容構成です。猛獣と戦ったり全力で逃げたりするような、ド派手なアクションは一切ありませんから。
馬で川を渡ろうとして溺れそうになったり、凍った湖の上を犬ぞりで走っていたところ氷が割れて凍え死にそうになったり、犬たちがそりごと崖から落ちそうになったり、凍った谷川をノーマンさんと犬ぞりだけが通り過ぎる静寂の世界など……。リアルなものだからこそ伝わってくる自然の厳しさや孤独感を感じました。

作中では様々な動物が登場します。ヘラジカやトナカイはもちろんのこと、あまりメジャーじゃなさそうなカナダオオヤマネコも登場しました。そしてもちろん、ハリウッドなどで「危険な猛獣」とされるグリズリーやオオカミも登場しました。私が一番気にしていたのは、彼らをどのように演出するかでした。

映画冒頭で、川でサーモンを取るグリズリーのすぐ横を、カヌーを漕いでいるノーマンさんがすうーっと通り過ぎていきます。互いに日常の風景であるかのように全然気にしてないのが印象的でした。
また、ノーマンさんがグリズリーと直接対峙するシーンがあります。グリズリーが目の前に現れ、2本足で仁王立ちし、ノーマンさんを激しく威嚇します。しかしそれに対し、彼はグリズリーをじっと見つめるだけです。クマは吠えたてたあと、茂みの向こうへ行ってしまいます。
ハリウッドだったら緊迫したBGMが流れ、人間は全力で逃げるか、大声で叫びだてます。でも、そんなくだらないアクションはありませんでした。だって、そんなことしてごらんなさいよ。クマを刺激して死ぬ確率が上がるだけですよ。
実はこのシーン、映画の中のことだけではなく、実際にこの映画の監督も何十回も経験しているそうです。ノーマンさんに至ってはその比でないくらい。実際の現場でクマが吠えたのかどうかは定かではありませんが、クマは状況を確認しようとして仁王立ちすることがあるそうです。映画の中では特別に調教したクマを使って再現したとのことです。(私もそうだろうと思ってました。本当に遭遇したらスタッフが落ち着いて撮影できないでしょうから)

これも多分再現だと思いますが、オオカミが登場するシーンもありました。真夜中、犬たちが吠えたててノーマンさんが起きてみると、犬たちの向こうにオオカミの群れがいました。監督の解説によると、オオカミたちは犬を追い払いに来たのだそうです。オオカミは縄張り意識が強いので、自分たちによく似た犬は攻撃対象のようです。その一方で、人間を襲うことはない、と言っていました。
実は私も別件で聞いた話、イエローストーンではペットを連れたトレッキングは禁止されているとのことです。ペットがオオカミを引き寄せる要因となるからだとか。映画ではノーマンさんが焚き火を起こし、無言でオオカミを追い払っていました。

ノーマンさんの哲学に感銘

映画ではノーマンさんご本人のナレーションも入っています。「人間も自然の一部であり、人間が狩りをしたり木を切ったりすることで自然のバランスが保たれる」という言葉はとても印象的でした。人間が草食動物を狩ることで数を調整し、程よく木を間引くことで美しい自然の景観が保たれるのだとか。野生動物の営みそれぞれが自然のバランスを保っているのは知っていますが、自然から抜けた人間は、私はもはや例外だと考えていました。でも、人間も古来から森の中で狩りをして生きてきたのだし、木を切って家や道具を作ったりしてきました。現代の自然破壊や、映画内でも言われていた森林伐採による野生動物の減少は、そのバランスを無視したものなんですよね。

私は本編を見た後、監督の解説入りの方も見ました。本編の映像に合わせて、監督が制作の舞台裏を解説してくれます。私も最初解説なしの方を見ていた時、どういう状況下で撮影していたのか気になっていたところがたくさんあったので、監督の丁寧な解説はとても良かったです。本編を見ているだけではわからないところもたくさんあるので、この映画が気になった方は、是非、本編と解説の両方をご覧いただくことをお勧めします。(ってか半分ネタばらしちゃったかw)

エンターテインメントの世界は信じるな!

動物は「可愛い」か「怖い」かのどちらかじゃない

エンターテインメント界では、動物は現代人の独断と偏見で表現されている気がしてなりません。一般的な動物番組では、平和な草食動物の群れに、狡猾で獰猛な肉食動物が襲い掛かり、いたいけな草食獣が犠牲になる、といった構図で描かれます。中型以上の肉食動物は、ゲームや映画の世界では人間を見るなり必ず襲い掛かってきます。つまり動物は、ちょっと極端ですが「可愛い」か「怖い」かのどちらかで見られているわけです。

でも、そういった認識は私は正しくないと思うのです。肉食獣も草食獣も、どちらも舐めず怖がらず、賢く敬意をもって接するべきだと思います。特に肉食動物に至っては、鋭い牙があるから、動物を殺して食べるから、危険だ、自分たちも襲われる、怖い、と恐怖心を煽るような表現をするのは私はとても嫌です。彼らを暴君、悪者として表現されるのはけっして気分のいいものではありません。

映画で表現される動物への態度は間違ったものばかり

さらに悪いことに、エンターテインメントの世界では、こういった危険な動物の怖さを強調するため、遭遇した人間の行動にも演出を与えます。悲鳴を上げる、走って逃げるなど。しかし現実では、そういった行為はすべて命とりです。

例えば私がはっきり記憶に残っていたものとして、映画「アバター」の例を上げてみましょう。大学生の時に見たものですが、大好きなテーマだっただけに、動物の描き方に不満を覚えとても残念だった記憶があります。
映画の中で、主人公ジェイクがパンドラのジャングルの中でサイのような巨大な動物に遭遇します。最初その動物は威嚇してきますが、彼の横にいた女性が「大丈夫、怖そうに見えるけど本当は大人しい性格よ」と言い、その動物を刺激しないように言います。ところが、背後からトラのような動物が出てくると「全力で走って逃げて!」と言います。映画は一転して緊迫したムードになり、主人公は川に飛び込んで逃げ切ります。

少しでも動物の行動に心得がある人からすれば、これがいかに馬鹿げた娯楽主義の演出かわかると思います。実際は逆です。肉食動物だからこそ、逃げちゃダメなんです。背を向けて走ったり、悲鳴を上げたりする行為は彼らの狩猟本能を刺激してしまいます。だから肉食動物と対峙したときこそ、相手の目をじっと見つめ、ゆっくり後ずさるべきです。一方イノシシといった動物に襲われたら、木の上などに避難しましょう。

クマでもオオカミでもそうですが、動物による人身事故の殆どは人間が原因です。人間が不注意、不適切な行動を取ったことが原因で起こります。だから映画やゲームで描かれている動物たちやそれに対する人間の態度は、おおむね間違っていると認識してください。私もここ10年くらい動物が出てくるファンタジーは観れなくなりました(笑)

私の言うことが信じられない? だったら下記に参考になる書籍の案内を貼ってきますので、是非買って読んでいただけたらと思います☆ ちなみにこの本のイラスト担当者さんは博物ふぇすやワイルドライフアート協会などで知り合った方です。

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危険生物ファーストエイドハンドブック 陸編

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